「帰りたくなる家づくり」をテーマに、注文住宅の設計施工を手掛けているスタジオココリ。
その全貌を明らかにすべく「ココリ特派員」のヒエダアヤカが、スタッフにインタビューします。
いま、日本で増えつづけている「空き家」。ニュースなどでも、この「空き家問題」について取り上げられる機会が増えています。
(将来相続予定の実家が、空き家になってしまうかも……)そんな不安をお抱えの方もいらっしゃるかもしれません。
空き家が放置されると、どのような問題が起こってしまうのか。そして、それを防ぐために、ココリではどんな取り組みを行っているのか。
建築士の石浦さんと安藤さんに、お話を伺ってみました。
―「空き家問題」昨今よく耳にするワードです。
まずは、そもそも「空き家問題」とは何なのか?また、どのようなことが原因で起こっている問題なのか?ということについて、お二方の視点から教えてください!
(石浦)人が住んでいなくて、放置されている家。それを私たちは「空き家」と呼びます。この「空き家」をそのままにしておくと、いろいろなよくないことが起こってしまいます。
誰も住んでいなくて、誰にも管理されていないので、たとえば、害虫が湧いたり、ネズミや野良猫が住み着いてしまったり、雑草が生い茂ってしまったり……
また、そのスパンが長くなると、今度は不法投棄、放火、倒壊、不審者が出る、などの問題も発生してしまいます。
そういったことが多発すると、長い目で見た時に、自分の住む地域や街全体の資産価値が下がってしまう可能性があるんです。これが、空き家問題です。
(安藤)日本に住む人々は、新築派の方が多いんです。日本は工業大国なので「つくっては捨てる」というのが日本的な考え方なんです。
一方で、海外では「家を直して住み継いで」というケースが非常に多いです。「今あるものを大切にしつつ、手を加えてより自分らしいものに変える」という考え方です。
また、日本は地震大国なので、倒壊してまた建てて……の繰り返しだったという、根本原因も関係していると思います。阪神淡路大震災や東日本大震災などを経て、今後発生するという直下型地震への不安から「古い家に住むのは耐震的に心配」というお客様もかなり増えたのだと思われます。
そのため、今は新築でもかなりの高耐震のものを施工し、古家だとしてもしっかりと耐震工事を行うことが主流となってきていますね。
―ありがとうございます。家が空き家になってしまうのは、日本という国の性質に起因するところもあるのですね。
そして、さらにそれを放置することで、自然発生的な問題のみならず、人的な問題、ひいては地域全体の活性にかかわってくるということもわかりました。
そうなると「いまの家に長く住み続ける」人を増やすことも大切になると思います。「家の老巧化」に懸念があるお客様に対しては、どのようにアドバイスをされていますか?
(石浦)ココリでは、まず「家の健康診断」を実施しています。
人間にたとえると「骨にひびが入っていて、ギプスが必要です。内臓が疲れていますので、そこから健康な状態に持っていくためにはこれくらいの費用がかかります」というような内容です。
現状を把握したあと、お客様がどこまで健康な状態を求めるかによって、それに沿った治療を行います。お客様がどれくらいこの家に長く住むか、ということもしっかりとヒアリングして、その年数に合わせた金額で治療を実施していきます。
たとえば、リビングで過ごす時間が長いのであれば、そこだけ断熱にしたりということもできます。
(安藤)家の状態によっては、リフォーム・リノベーションをするよりも、新築立替のほうが総合的に費用を抑えられるような場合もあるんです。
ココリはリフォームも、新築も両方できるので、お客様のご状況に合わせた対応ができるところが強みだと思います。
また、戸建住宅だけではなく、鉄筋コンクリート造マンションのリノベーションもできますので、お客様の需要に合わせたいろいろな選択ができる会社なんじゃないかな、と思っています。
―ありがとうございます。「家の健康診断」とてもユニークですね!身体の状態を総合的に診てもらえば、悪いところだけを治すことができますね。
話はまた少し「空き家問題」に戻ります。
空き家を増やさないために何ができるのか、お二方が考えている対策はありますか?
(石浦)「新築の資産価値の見える化」が大切だと思っています。
たとえば、長期優良住宅です。こちらは、建てた家を長期間管理していきましょう、というものです。新築時に、家の修繕まですべて見込んで計画を立ててしまうものです。
家も人間と同じです。たとえば、人間も毎日きちんと歯磨きをしていれば、歳をとってもきれいな歯でいられますよね。維持管理をしっかりとしていくことで、年数が経っても丈夫できれいな家に住み続けることが可能なんです。
ココリでは、「家歴書」といって、お引渡しの際に家のすべての内容をファイリングしているものをお客様にお渡ししています。こちらは家の状態を包み隠さず、お客様にすべてわかるような内容の資料です。
60年保証になっているので、たとえば30年後見直したときに、家の「治療した場所」「治療すべき場所」がわかります。ココリは、家とそこに住むお客様にとって、町医者、かかりつけ医みたいな存在でありたいと思っているんですよね。「家のお医者さん」です!
(安藤)いま「サスティナブル」という言葉が流行っていますが、家も同じだと思います。
ココリは新築中心の建設会社で「孫の代まで暮らせる家」をテーマにしています。
「今住むのに最適な理想のおうち」というよりも、将来のライフプランまで考慮することが大切だと思っています。
いまの幸せも非常に大切ですが、「20年後もその家で幸せに暮らせているか」を視野に入れた家づくりをしたいですね。
(石浦)そうだね。いま「平屋ブーム」が来ているけれど、それもサスティナブルの考え方に関係しているかもしれないね。
耐震性を考えたときに、平屋だと計画もしやすいし、2階もないので、子どもが巣立ったあとでも1階のみで生活できるんです。「平屋である程度ミニマムに暮らす」という価値観が人々の中に形成されているのかもしれません。
以前、ココリ社内でモデルプランのコンペを開催したときにプレゼンしたのが「稼ぐ家」というものでした。
たとえば、巣立った子どもの部屋を親御さんがはじめたパン屋さんの店舗にしたり、賃貸にしたり、あるいは二世帯住宅にしたり……
住む人のライフプランが変化したときに対応し、家の寿命が延びていくことで
「稼ぐ家」は実現します。
これだけ共働きが増えているので『サザエさん』のような暮らし方も、近いうちブームになるかもしれませんね。
―ありがとうございます!
それでは最後に、空き家問題に対して、スタジオココリがこれから取り組もうとしていることについて、教えてください。
(石浦)余白があれば、そこに色を塗りやすくなりますよね。そんなイメージで、ココリは空き家に目を付けました。見方を変えれば、空き家が面白く見えてくるんです。
たとえば、空き家でゲリラ的にイベントを開催したり……何か新しくできることが生まれてくるんじゃないか?って。
スタジオココリの理念は「帰りたくなる家づくり」ですが、空き家問題に対しては「『ただいま』を言える居場所をつくる」ことをミッションにしています。
たとえば「育児は忙しいけど、自分のお店を開きたい!」という夢を持っているママさんが、空き家で独立してお店を出せるようにしたり……そのお店がきっかけとなって、色々なコミュニティが生まれたら最高ですね。
ココリが空き家を活用して、お客様に利益が生まれる。そんなスキームがしっかりとできてくれば、いろいろな方がそこに定住したいと思ってくれるようになるので、それが結果として、地域活性化につながるといいな、と思っています。
地元に一店舗おしゃれなカフェができれば、その地域全体が活性化する現象がありますよね。そういう形で地域を盛り上げていって、子育て層のハブになっていけたらいいな、と思っています。仕事や商いが生まれて、そこがやがて住むところになっていくイメージです。
(安藤)そうですね。僕も石浦と同じ想いを持っていて、新築戸建てだけではなく、リノベーションを通してまちづくりに貢献していきたいと思っています。
2022年から、ココリは本格的にリノベーションをはじめました。「帰りたくなる家づくり」という企業理念に根差した取り組みです。
空き家問題の解決策としてリノベーションに取り組むことで「帰りたくなる家づくり」をする。そして、そこで仕事や商いが生まれることで、建物の工法や新旧にとらわれることなく「帰りたくなる街づくり」をしたい。
僕たちはそんな想いを持って、家づくりをしています。
―「帰りたくなる家」が広がって「帰りたくなる街」になる。とても素敵ですね!
素敵なお話をありがとうございました。
次回の記事も、どうぞお楽しみに!